PAL142便
がんばれ!Windows Powered



Updated 1999/12/14
Updated 2000/01/18





マジで頑張れ!





20世紀末に登場したPalm/WPJにとって、
20世紀最後の巨人企業
Microsoft社からの攻撃、
つまり、
Windows CE OSを搭載したマシンのリリースは
かなりの脅威になるものと思われた。

このOSを搭載したハンドヘルドマシンをリリースした時、
Microsoft社の総帥である
Bill Gatesさん
かつて
Apple社に対して行なったのと同様の方法で
Palmに対しての勝機を見つけたと確信したはずだ。

つまり、GUI重視の「MacOS」の優秀さに気づいたがGatesさんはかつて、
これと非常によく似たOSである「WIndows OS」をリリースすることで、
本家MacOSを倒産寸前にまで追い込んだ。

1996年にデビューしたPalmPilotが
歴史上初めてハンドヘルドマシンの世界で成功したのを見たGatesさんは
もっとも得意とするこの方法で
「Palmの成功」を横取りしようと考えた。

こうして世に放たれたのが
ハンドヘルドタイプの各種Windows CEマシンだ。
このシリーズは最初
「Palm PC」と名付けられたほど、
Palm OSを意識したアイテムだった。
(もっとも、あまりにも名前がPalm OSのパクリっぽかったので、
その後、
訴えられた裁判に負けて、名前を「Palm-size PC」に変えた

ところが、意識したのは
形や名前だけで
結局、Palm OSおよびそのマシンが持つ
本当の勝因に気づけなかった同OS搭載マシンは
やがて危険な状態に陥っていく。
それはベトナム戦争に深入りしたアメリカ軍のような
泥沼感に満ちていた。

世界中のPCメーカーと連合を組んで
小鳥
(Palm Computing)を挟撃するつもりが、
逆に、小鳥は成長して鷲になり、
追いかけているはずのWindows CEマシンは
いたずらに商品ラインナップを増やすだけで
売れ行きはきわめて芳しくなかった。

その結果として、
Palm Computing社
Gatesさんさえも予想だにしなかった
「別のピンチ」に陥ることになる。

つまり、
かつてWindowsがMacOSを駆逐することで
Microsoft社自身が陥った「独占禁止法違反」というピンチに、
今度はPalm Computing社が陥ろうとしてるのだ。

現在のPalmマシンのシェアはおよそ
世界の2/3!これ以上売れてしまうと、
まるでWindowsOSによるデスクトップコンピュータ市場の独占のような
結果になってしまう!

こんなことになったら、とっても困る!

とにかく、「Windows CEマシン」が
売れなさすぎるのだからしょうがない。
Microsoft社はかつて自分が追い込んだApple社の立場に回ってしまった。

20世紀最後の巨人がいいのか、こんなことで?

だからWindows CEよ、頑張ってくれ!

・・・という、ここまでの話は、
定期便PAL137便「がんばれ!WIndowsCE」で書いた。

今回は、
そこからさらに悪化した同OS搭載マシンについての
ニュースリンク集だ。

時代背景としては、
1999年秋。

Palm Computing社が親会社3Com社の売り上げの1割を越えるようになり、
同社内に分離独立の機運が高まり、
世界に冠たる携帯電話ブランドの雄で、フィンランド企業
NOKIA社
ワイヤレス技術に関する提携を結び、
続いて、最先端技術のブランドパワーを持ち、
次期PlayStationでは家電とPCの融合を計ろうとしており、
つい最近もメモリースティック技術で新しい標準を作った
日本の企業
SONY社との提携を発表した時期だ。
また、互換機「Visor」や「TRGpro」のリリース時期とも重なっている。

「スリーコムがパーム事業を分離へ」
1999年9月13日(CNET JAPAN)

「ノキアとパームがワイヤレス・インターネットで提携 」
1999年10月13日(CNET JAPAN)

「ソニーとパームが次世代ハンドヘルドで提携」
1999年11月15日(CNET JAPAN)

そんな時期に、
Windows CE陣営は何をしていたのか?
いつものようにCNET JAPANの記事で紹介しよう。




「マイクロソフトが
手書き文字認識技術に投資」

1999年10月27日(CNET JAPAN)

Microsoft社もようやく
Palmの勝因のひとつである「Graffiti」の魅力に気づいたようだ。
どう考えても遅すぎるような気もするが、
まあ、しないよりはした方がいいだろう。
無駄な投資にならなければいいが・・・。


「ゲイツが
『Web Companion』を発表 」

1999年11月14日(CNET JAPAN)

Bill GatesさんがWindows CEに関しての
努力をまったくしていない!
・・・なんてことは口が裂けても言えない。
彼は絶えず努力をしているのだ。
でも、売れない。
誰かその理由を教えてやってくれ〜!

さて、今回の「努力」は
Microsoft社が誇るMSNインターネットサービスを
Windows CE搭載マシンに植え付けようという計画だ。
このアイデアは、
いろいろなものを「本歌取り」することをもっとも得意とする
Gatesさんが放った最新の大作戦とも言える。
つまり、ラリー・エリソンの夢「ネットワークコンピュータ」という
テーマをハンドヘルドのレベルまで持ってこようというアイデアだ。
このアイデアはかなり画期的なものと考えることも出来たが、
なんと2日後のニュース記事を読むと・・・。
(下記記事を参照)


「積み重なるWindows CE離れの証拠」
1999年11月16日(CNET JAPAN)

国内のモバイル雑誌を読むかぎり
Windows CE搭載のハンドヘルドマシンが低迷しているなどとは
絶対に思えない。
Palmマシンの数倍は売れているように思える。
そして実際、国内ではそうらしい。
ところが世界的潮流ではWIndows CEマシンはとてもピンチらしい。
Palmのシェアは75%という高水準を維持している。
この温度差はいったい???


「『Windows CE』を
『Windows Powered』に変更」

1999年11月30日(CNET JAPAN)

Microsoft社はとうとうWindows CEというOSの
名前までも変えるらしい。
どうなってしまったんだ?
Bill Gatesさんの運はとうとう尽きてしまったのか?
PalmとSONYが提携するという華々しいニュースの影で、
こんなニュースがあったとは・・・?!
頑張って欲しい、Winows CEあらため、Windows Powered!
本当にPoweredされないと、
来年にはPalmが独禁法で訴えられてしまうかも!



じゃ。


1999年12月9日



Updated 1999/12/14





これまではCNET JAPANのみが
WIndows CEの没落を描き、
その他のニュースサイトは沈黙を保っている、
または
逆にWindows CEのそこはかとない未来をことさら描いている
・・・ようにも見えたが、
さすがに最近の凋落ぶりには目を瞑ることが出来なくなったらしい。


「Palm-size PC用の
『Windows CE 3.0』,
GUIのシンプル化が不十分? 」

1999年10月30日(ZD Net)

ここまで書かなくてもいいのに・・・と思いつつも
もしもこの通りなら、機長はBill Gatesさんに提言したい。
現Windows CEの開発部隊のボスをクビにして
日本のPalm開発者Tatsuji Yamadaを
中南米の小国の国家予算ぐらいで引き抜いた方がいいんでないかい?
ま、彼がそれでもGatesさんの会社に
入るかどうかの自信まではないが・・・。
うん、もしも彼の引き抜きに失敗したら
機長をそちらの会社で引き抜いてみるというのはどうだろう?
偉そうなこと言ってるわりには機械のことに暗くて
3〜4日でクビになることは間違いないが、
それだけあればベガスのカジノで豪遊して
引き抜き費用を使い込むぐらいの抜け目のなさは持っているはずだ。


「Palm OSが
かつてなく勢いを増す理由」

1999年12月13日(ZD Net)

主題はタイトル通りPalmOSについてだが、
冒頭で機長のコラムと似たようなことを書いている。
つまり、毎年4番バッターを引き抜いてくるジャイアンツが
なぜ今年もドラゴンズに負けたのか?
・・・もとい、
常勝MS社がなにゆえPalm社という弱小カンパニーに負けたのか?
というお話だ。
もしかしたらBill Gatesさんの中ではすでに2000年問題が
始まっているのかもしれない。
つまり、PCでの必勝法がHandheldの世界では通じないという
ものすごいバグ!


これからも、面白いニュースがあったら、
思いついたように更新するかも・・・。



じゃ。


1999年12月14日



Updated 2000/01/18





2000年になって、例の「Windows Powered」に
新しい展開が現れた。

「ゲイツが『Pocket PC』を
大々的に宣伝、
Windowsアップデートを示唆 」

2000年1月5日(CNET JAPAN)

この記事の中には
「『Pocket PC』と呼ばれるWindows CEのアップデート版」
という言葉が登場する。

ということは、『Pocket PC』とは、
『Windows CE』のアップデート版の名称らしい。

ところが、
「Mobile Central」の湯野康隆さんの記事によると、
「キーボードのない手のひらサイズの
Windows CEマシンのことを
『Palm-size PC』と呼んでいるが、
この名称が『Pocket PC』に変更」
され、
「現在、各端末についている
『Powered by Microsoft Windows CE Palm-size PC』というロゴが
『Windows-Powered Pocket PC』に変更」
され、
「Windows CEの名称自体は、今後もOSの名前として存続」
されることになったらしい。

う〜ん、詳細は不明だが、
これらの名称変更について初見で理解できた人は偉い!

ま、とにかく
ゲイツさんは「Pocket PC」という名称で
2000年のハンドヘルド市場に
勝負に打って出るらしい、ということはわかった。

しかも前述のCNET JAPANの記事を読むかぎり、
この「Pocket PC」なる次世代マシンには
ガジェットユーザの願望通り、
今後も大量の機能を詰め込んでいってくれるらしい。
いわゆる「Simply Palm」の逆をいってくれる訳で、
この路線を踏襲してくれるかぎり、
Palmは安泰だと言える。

あ、もちろん、
日本のガジェット好きは
世界の潮流に反してこれを買い続けるだろうが、
ラッキーなことに、
彼らはガジェットに対して、
文字通り実用性は求めていない。
彼らが求めているのは
使いやすさよりも購入&所持という満足感だけだから、
長い目で見たら安全だ。
Palmの敵じゃない。

そして、名称を「Palm-size PC」から
「Pocket PC」に変更したことは
今後の同マシンの未来を占う上で、
注目に値する。

彼らは名実ともに「Palm」の影響力から逃れると同時に
「手のひら」サイズの呪縛からも
逃れてくれるかもしれないからだ。
たとえば、彼らの言う「Pocket」とは、
もはや「ワイシャツのポケット」とは
限らないかもしれない。
それは「ワイシャツのポケット」よりも、
もっと大きな別のものかもしれないのだ。

そんなわけで、
とにもかくにも、ゲイツさんの夢は
彼の(どんなサイズだかわからない)ポケットの中で
新たなるミレニアムへと船出した。

ところが、上の記事が出た1週間後、
当のゲイツさん自身が
船出したばかりのこの船を降りることになった。


「ゲイツがCEOを辞任、
会長職には留まる」

2000年1月13日(CNET JAPAN)

ま、このニュースはここで今さら
どうのこうの言うべきニュースじゃない。

原因は独禁法問題であり、
決してWindows CE不振のせいではないのだから。

そして、ゲイツさんの後任には
スティーブ・バルマーさんがなった。

そんなバルマーさんの新しい船出を、
CNET JAPANは翌日、
やや悪意に満ちた
こんなタイトルで記事にしている。


「マイクロソフトの不安な船出」
2000年1月14日(CNET JAPAN)

ちょっと、きつすぎる内容だが、
意外と的を得ている。

ところで、
この記事の中に妙な表現がある。
それは「ウェブTVに近い情報筋」なる人物が述べている
下記のようなコメントだ。
「唯一、文句なしに成功を収めているのは
『Palm』を出した米スリーコムのみだが、
その技術は米USロボティクスから買収したものだ。
つまり、スリーコムが自力で成長したとは言い切れない」

これは不思議なコメントだ。
確かに、3Com社はUS Robottics社を買収した際に
連れ子のように、海のものとも山のものともわからない
Palm Computing社なる子会社も
同時に引き取ってしまったのは歴史的事実だが、
それを否定的にとらえることの意味がよくわからない。
なぜなら、
当のPalm Computing社がまもなく
その義理の父親(3Com社)のもとを
飛びだして独立するほどまでに成長してしまったのだから、
3Com社が「自力で成功したかどうか」は
あまりに意味がないように思える。
とくに、3Com社とは違って、
(その結果はともかく)
毎回、明確な目的の元に企業買収を行なってきたはずの
MS社について考える際に、
「3Com社の自力」はあまり意味のない話だ。
このような認識が、
もしもMS社内に本当にあるのなら
同社はかなりのマヌケ企業と言えるのだが、
そんなことは決してありえないと思う。

そして何よりも、
MS社の「パソコン市場では巨大に成長したが、
パソコン以外の事業については、
かろうじて赤字を出さない程度の成功にとどまっている」
という
状況こそが重要であり、
そこにこそ、Palm社や
まもなくポストMS社として
その正体を表しそうなSONY社の勝機がある。

がんばれ、ゲイツさん!
がんばれ、バルマーさん!


じゃ。





2000年1月18日



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