LONG COLUMN 005


ミニ定期便723
「Donnaは倉庫番が好きらしい。」


Date: 2001-01-09 (Tue)


●追加情報アリ

 NewYork在住の読者であるBAGIさんから、機長が泣いて喜ぶ類いの情報を貰った。当然のようにここで紹介する。


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「Fast Company」
というアメリカの雑誌(変革を担う経営者や起業家を対象とするビジネス系雑誌です)に、HandspringのもうひとりのPresident & CEOであるDonna DubinskyのQ&A形式のインタビューが載っています。
その中で、「標準以外でお気に入りのsoftwareは?」という質問に対して、彼女は"Sokoban"というパズルが好きだと答えています。"sokoban"...そう、「倉庫番」ではありませんか!日本発のアイディアがこんなところに登場してるのを見て、うれしくなって、これは機長さんへ知らせねばと思わず筆をとった(?)次第です。

なお記事は以下のリンク先にも。

http://www.fastcompany.com/online/42/facetime.html

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どうやらこの雑誌、日本で言うところの「Big Tommorow」のドットコム版みたいなものらしい。

しかも、このリンクにでている記事が雑誌全文と同様のものかどうかは不明
(抜粋かもしれない)だが、確かに上記リンクでDonnaのインタビューを(英文だけど)読むことができる。

Donna DubinskyはPalm Computing時代、そして現在のHandspring社CEOになってからも、実に多くのインタビューを受けているが、これほどプライベートな内容のものはなかったように記憶する。

たとえば、
「あなたの両親はどんな人だった?」という質問に対して彼女はこう答えている。

「私の父は鉄屑ブローカーだった。母は普通の主婦だったけど、ブリッジの腕前はかなりのものだったわ。」

ちなみに、彼女の母親は最新型のVisorを持っているらしく、「もし最新のを持ってなかったら、私の知り合い全員に文句を言うのよ」などと言ってるらしい。
もちろん、インタビューに付き物の、ごく一般的な質問にも答えている。
「使ってるマシンは?」という質問には…

「Visor PlatinumにVisorPhoneをつけて使ってるわ。それと、まだ未発売の「Merriam-Webster dictionary」という辞書を使っていて、とても気に入ってるわ」

「好きなソフトは?」という質問には…


「いろんなパスワードを保存してくれるPassword Store、ゲームでは倉庫番、それと、いつでもどこでも星空を教えてくれる天文ソフトが好き!」

…と答えている。天文ソフトの名前は出ていないが、
コレかな?と機長は想像している。
ここからはかなりプライベート色の強いインタビューが続く。
「ハンドヘルドに絡んだもっともイケてる人たちの話は?」という、たぶんにインタビュワーの狙いがあらかじめ絞られていそうな質問にはこう答えている。

「Palm社時代に、結婚式の誓いの『I do』の部分をお互いにビームしあったカップルがいたわ!」

実はこの後に、昨年7月に結婚したばかりのDonnaとその夫LenのPalmに絡んだ話も登場する。Donnaは45歳で、Lenは52歳。お互いに初婚だったそうだ。結婚式の前、乾杯の際に読もうとDonnaが自分自身でLenについての面白い詩を書いたそうで、その、小さな紙きれに書いた詩を、事前に彼に読んで聞かせようとしたら、Lenは自分のVisorを取り出して「なぜ君が未だに昔ながらの紙を使ってるんだかわからないよ。僕の結婚式の詩はここ(Visor)にあるよ」と、Lenは自作の詩をVisorからDonnaに読んで聞かせてあげた、というお話だ。
さらに、6年前にDonnaが独身のままに貰った養女の話が出てくる。現在、小学校3年生になるその娘は、まだPalmもVisorも持っていないが、DonnaのVisorでゲームをしたがるそうだ。


「でも、彼女の年齢では、まだ本当には必要ないと思っているの。だから、13歳になったらになったらプレゼントしようと思ってる」

…そうだ。ちなみに、13歳という年齢は、文中に出てくる「bar mitzvah gifts」というユダヤ教特有の成人式の年齢らしいのだが、辞書を引くと、「bar mitzvah
(バルミツバー)」というのは男性用の成人式の名前で、女性の場合は「bat mitzvah(バトミツバー)」というらしいのだが、機長はユダヤ教徒じゃないのでよくわからない。
インタビュワーは
「あなたは自分が10億ドルの価値がある女性だと思ってる?」という、少し意地悪な質問もしている。それに対してDonnaはこうかわしている。

「それはタイミングによるわね。私の持ってる10億ドルはあくまで流動的なものだから、たった今それを現金に替えることは出来ないのよ」

さらに意地悪な質問は続く。
「でも、あなたは今、ご両親よりもリッチな生活をしてる。娘さんとの関係で心配になることは?実際、あなたたちは裕福な生活をしてるでしょ?」それに対するDonnaの答はこうだ。

「私は5年物のChevy Blazerでもう8万キロは乗ってる。新車も欲しいとは思うけど、今の車で素敵なバケーションを過ごせている。私は決して質素な暮らしをしている訳じゃないけど、そのことで、はしゃいだりしたくないの。」

このインタビュワーはお金持ちが嫌いなのかもしれない。さもなければ、アメリカの企業家や起業家たちの悩みがこの一点に尽きているのか?…最後の質問はこうだ。
「娘さんのお小遣いはいくら?」

「娘にお小遣いはあげいていないのよ」

…と、そうこたえてから、Donnaは続けている。


「こんなことがあったわ。娘がお友達に『私はお金持ちよ』って言ってるのを聞いて私は心配になった。だからそのお友達が去った後で彼女を座らせて言ったの。『そんなことを他人に言っちゃダメ。私たちはたまたまラッキーだっただけなの』他にもいろいろね。すると娘は私をまっすぐに見つめながら言ったの。『ママは何を言ってるの?』そして娘は自分の小銭入れを開けたの。中には1セントや5セントのコインが一杯に詰まってた。そして言ったの。『ママ、私はお金持ちよ!』それを見て私は思ったの。何も心配することはないって」

う〜ん、なんか
弘兼憲史の漫画に出てくる出来のいい娘みたいなエピソードみたいで、ちょっと出来すぎた話にも思えるのだが、機長は嫌いじゃない。

企業家
(起業家)へのインタビューとしてどうか?と疑問に思う部分もあるのは事実だ。そういう意味では、かなり異色のインタビューと言えるこの記事だが、技術や産業さえも「人格」を通して理解しようとする癖のある機長には、なかなか味のあるインタビューではある。

【追加】

その後、読者のたきさんから下記のようなメールを貰った。


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Fast CompanyのDonnaのについての記事、どうもありがとうございます。原文をAvantGoでVisorに落として読みました。とても興味深かったです。
また、「重箱の隅をほじくるような」と思われるかもしれませんが、少しインタビューについて説明したいところがあるのでお知らせします。
(中略)Jeffについてのインタビューや記事はこれまでに結構いろいろあったけど、Donnaについてのはあまり見たことがなかったのでとても面白かったです。Donnaについての人となりが伝わってくるインタビューでしたね。ミーハーながら、倉庫番をDLしちゃいました。
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いやいや、機長は英語が苦手なので、とっても助かった。【Donnaの母親が新型Visorを持ってる話】と【ハンドヘルドに絡んだもっともイケてる人たちの話】については、たきさんから教えてもらった日本語訳をもとに改訂させてもらった。もともと、機長のかなりいい加減な訳だったとは言え、間違いだけはやっぱり訂正したいから、とっても助かった。ありがとう!
さて、「bar mitzvah
(バルミツバー)」についての情報も、たきさんから同時に貰った。

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あと、bar mitzvah(バーミツバ)と bat mitzvahについては機長のおっしゃる通りです。親戚中からお祝いがもらえます。普通は現金を贈ることか多いみたいで、多くても$100包むぐらいではないでしょうか。Donnaはバーミツバ祝いにはVisorを贈ることにしているそうです。インタビュアーがそれで「ワオ!あなたはバーミツバのお祝いの標準をつり上げて(値段を高く)しまいましたね!」と言っています。少々、付け足しです。インタビュー中にbar mitzvah giftとありますが、別にDonnaは男の子だけにVisorをあげてるわけじゃなくて、一般的に両方を含めてbar mitzvahと言っているのだと思います。===============


たきさん、大感謝だ!











じゃ。


2001年1月20日



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