Pilot Air Line
PAL014便
筋曜日に神様が動いた!
(後編)

2


ローカライザー

ローカライザーとは?

さ、今度もまた機長の造語ではない。
神様の「readme.txt」にもちゃんと書いてある。
ではこのローカライザーとは我々に何をもたらしてくれるものなのか?

「readme.txt」の中で神様は、こんな言葉で説明してくれている:


「メッセージ、メニューなどの日本語化」



つまり、「J-OS Pro2.0b1」付属のローカライザーを使えば、
これまでは当然のように英語で表記されていた
Pilot内のメッセージやメニューが日本語になってしまうのだ。
これがいったいなんの役に立つのか?!と言われると、
実にシンプルな、だけど大きな役割を果たしてくれる。
つまり、英語の苦手な人でもPilotのメッセージやメニューに
オタオタする必要がなくなったのだ。
そしてその結果、おそらくはこれが神様がこの機能をつけた
本当の目的だと睨んでいるが、
「Palm Pilotを買ってもいいけど、
国産のザウルスの安心さにはかなわないよな。
なんたっていきなり英語とか出てこないもん」と思っている
Pilotユーザ予備軍にとっての大きな障害であった
「所詮は外国製PDAマシン」という
敷居の高さを低くしてくれるはずだ。



その反面、Macintoshの世界でせっかく日本語OSがあるってのに、
あえてメニューの表記を英語に変えてしまったり、
完全なる安定性実現とシステムの軽量化のために
わざわざ英語システムの上に
JapaneseLanguageKitを載せて使うユーザがいるように、
たぶんPilotの世界でも「カッコ良さ」や「安定性」のために、
この機能に魅力を感じないユーザも多いことだろう。
でも、さすが神様、そんなことは百も承知らしく、
初心者のためだけなら、ローカライザーなんて訳のわからない名前をつけて
Upadater本体の中に混ぜてしまえばいいものを、
あえて本体から切り離して、
しかも、どのアプリケーションを日本語化するかによって
6つのローカライザーを用意している。
ちょうどMacintoshの世界におけるPhotoShopやWWWブラウザの
「プラグイン」のような発想で、
必要なローカライザーだけを
インストールすればいいようになっている。

6つのローカライザー?

そう、説明が遅れたが、
メッセージやメニューを日本語化出来るのは、
すべてのアプリケーションではない。

それが出来るのは、
J-OS本体と、5つの標準アプリケーション
(Address、DateBook、To Do List、MemoPad、Mail)の合計6つだ。
それぞれに対応するように「JOS-LOC.PRC」とか
「ADRS-LOC.PRC」とか「DATE-LOC.PRC」と言った名前の
ローカライザーがある。
というわけで、自分が必要だなと思うローカライザーだけを
インストールすればいい訳だ。
残りメモリの不足で悩むユーザにとっても嬉しいサービスだ。



で、さっそくローカライズしてみた感想だが、
最初こそこれまでと勝手が違って戸惑ったのは確かだが、
それは単に英語メニューに慣れてしまっていただけで、
時間が経つとともにやっぱり
「日本語はいいわ」ってな気持ちになってきた。

急いでる時にも迷わない。
そして何より、日本語だとホッとする。

お盆で田舎に帰った家族が町中の家に戻ってきた瞬間に
オヤジさんが放つ一言「やっぱり我が家が一番だ」とか、
わずか3日か4日の海外旅行にもかかわらず
帰りの飛行機の機内食に出た「茶ソバ」に妙に感動してしまうのに似て、
理屈じゃなく日本語は嬉しい。
もちろん、elisaフォント嫌いの人間は、やっぱりMacintoshはOsakaじゃ駄目だ!
ChicagoかCharcoalでなきゃMacintoshの本当の美しさはわからない!
って気持ちになるのは仕方ないだろう。
中には、もっと単純に外国っぽさがなくなったらダサイよ、
って思う人もいるだろう。
人はそれぞれだ。
好きなようにローカライザーを流し込んでくれ、
と神様はわざわざローカライザーを6つに分けたんだと思う。



このローカライザーに関しては、
ほぼ完璧な出来と言っても過言ではないだろう。
機長が探検した限りでは、
メッセージやダイアログ、メニューにある
すべての単語と文章が日本語かされているし、
その訳語もとても自然な感じだ。
95点ぐらいの出来ではないだろうか?
(とくにMacユーザには耳慣れた訳語なのでとっても嬉しい)
では、その5点の減点はどこか?
と聞かれてもココとは指定できないくらいに、
よく出来ている。

でも、さすがに神様もGraffitiだけは訳していない。
これを「一筆書き」とか書かれても困るし、
「グラフィティ」とか書かれても
アメリカンじゃないんだからとツッコミたくなるのし。

※【Cancel=取消し】


神様は基本的に「Cancel」を
「取消し」と訳しているが、
これは慣れるまでに多少の時間を要する。
というのも、英語の「Cancel」では
「なんにもしない」くらいの意味で
気軽にタップ出来るのだが、
日本語の「取消し」だとその中にある
「消し」という言葉の字面のせいで
一瞬ビクリとしてしまうのだ。
これって機長だけかな。

なお、機長は恐れ多くも、
一ヶ所だけ神様の忘れ物を見つけてしまった。
「Mail」の「設定」メニューの
「HotSync」オプションにある「Cancel」だけは「Cancel」のままだ。
もしかしたら、
我々凡人にはわからない神様なりの
深遠な意味があるのかもしれないが、
少なくともこの「Cancel」だけは
日本語化をCancelされている
・・・うまい!
と、たぶん誰も褒めてくれないので、
自分で褒めておく。





ところで、「1、インライン変換」の項目の中で
「長所が生まれるとその副作用として短所が生まれることも多い」
と書いた機長だが、この「ローカライザー」も実は
妙な副作用を起こしている。
気づいている人は気づいているはずだが、
今回の「筋曜日に神様が動いた!」というタイトルの中の
「筋曜日」という言葉の謎がここにある。
実はこれ、誤植ではなかった。



話は、機長が「J-OS Pro2.0b1」を
初めてインストールした日に戻る。

その日の機長はウヒョヒョ状態だった。
ここまで書いたように、このアップデータ、
いいことづくめなのである。
これは素敵な贈り物を神様から貰ったぞ、
と思っていたらとんでもないことに気がついた。
それは「DateBook」アプリのDaily画面。
おなじみ右上の「M・T・W・T・F・S・S」という
曜日の表示画面の様子がおかしい。
日本語化した以上、そこには
「月・火・水・木・金・土・日」という漢字が並んでいるはずだが、
そこには替わって妙な漢字が並んでいる。
「厚・猿・石・妹・筋・内・土」
・・・なんだよ、これ?!
猿曜日とか妹曜日って!



Pilot関連のMLを見てみると、
機長と同じように「変な文字が並んでる!」という人と
「うちのは正常だよ」って人と二種類いる。
てことは、どういうこと?バグ?ハードの個体差?
でも、ってことは「J-OS Pro2.0b1」は手放したくないし、
このまま「厚・猿・石・妹・筋・内・土」の曜日名称で
頑張るしかないのかな。
でも「筋曜日」は音的に「金曜日」に似てるからいいけど、
火曜日を「猿曜日」と覚えたり、
木曜日を「妹曜日」と覚えるのは大変だな。
とくに「日曜日」のことを「土曜日」って覚えるのはほとんど無理だ。
そんなの頭おかしくなるよ!と思っていたら、
MLに神様から説明があった:


「readme.txt」にも書いてあるように、
これは仕様です」



あ、またまた読んでなかった「readme.txt」!
という訳で読み直してみたら、ちゃんと書いてあった:


「PrefのFormatで曜日の始まりを
月曜日に設定しておくと、
DateBookの曜日表示がおかしくなる」



そうか、2種類のリアクションがあったのはこのせい
(設定を「日曜始め」にしてる人と「月曜始め」にしてる人の差)だったんだ!
そういうわけで、
もう少しで我が家でスタートしそうだった
新しい「暦」を覚える必要はなくなった。
Pilotユーザだけの間で通じる
「マジカル頭脳パワーって妹曜日だっけ?」なんて会話も
ちょっと面白そうだったが・・・。



なんでもこの曜日のバグは、
システム上の根本的なバグらしく簡単には直らないらしい。
そこで機長は決めた。
本来は使い慣れた「月曜始め」設定を捨てて
「日曜始め」設定にしよう!

3


インストール診断

これはさっき書いたので、省略します。


以上がこの「J-OS Pro2.0b1」の主要機能だ。



「readme.txt」は必ず読むべし

ここで話を終えてもいいのだが、
普段「readme.txt」を読まないユーザでも
ここだけは「readme.txt」を読んでおかないと
困ってしまうという要素がひとつある。
実際機長も、ここだけは読んでいた。
というか、読みながら作業をした。

それは何か?

ちょっと思い出して欲しい。
神様は意外と気の利く人だと途中で書いたが、
だとするとそんな気の利く人がなにゆえ
「インストール診断」などという不思議な機能を作ったのか?
実はヒントはここにある。
あの機能がなぜ突然登場したのか?
つまり、今回のアップデータは注意しないと
インストールに失敗することがあるよ、
という背景があるからこその「インストール診断」機能なのだ。

じゃあ、どこが難しいのか?

ひとつには「2、ローカライザー」のところでも書いたように、
ローカライザーの種類が6つもあって、
しかもそれらがすべてオプションになっている
(インストールしてもしなくてもいい)ことがひとつ。
さらに、これはバージョン1.0でも似たような感じだったが、
PILOT 1000と5000のユーザとPalm Pilotユーザで、
インストールする書類が違う。
(前者は「jospro1.prc」を、後者は「jospro2.prc」をインストールする)

これだけでもちょっと面倒くさいのに、
インストールする前にいくつかの作業をこなしておかなければ
今回のアップデータはちゃんとインストールできないようになっている。
ちゃんとインストールできないとどうなってしまうのか?
・・・はよく知らない。
じゃあ、その複雑なインストール方法ってどうするのか?
・・・は神様が書いた「readme.txt」を読めばわかる。
そしてインストールに失敗すると
前述の「インストール診断」機能が教えてくれる・・・らしい。

とにかく、インストールの方法だけは
神様の書いた「readme.txt」をよく読んで下さい。


ああだこうだと書いたが、
今回の「J-OS Pro2.0b1」はとってもチャーミングなソフトだ。
唯一の欠点はまだベータ版であるということ。
一日も早くベータがとれて欲しい。
そのためにもみんなでジャンジャン使ってバグを見つけよう。
その結果、アナタのPilotに入っていたデータ
もしくはアナタの心がボロボロになっても、
機長は知らない。
そこまでの責任は持てないので、
怖い人は正式版のリリースを待とう。

恐れ多くも・・・

最後に、「J-OS Pro」の将来への機長からの提言を。

1

パーフェクトインライン機能の実現
・・・とっても難しそうだけど

2

辞書登録機能の制限撤廃
・・・簡単にはMemoPadの「J-OS」タブ内に登録用のメモを
「01」「02」・・・と増やしていけるとか?

3

URLを覚えさせるために
辞書登録で「/」も使えるようにする

・・・さらなる特殊記号を挟むとかして実現できれば嬉しいが、
これは難しそう

4

もしくは、辞書自体の改造が
今よりもっと簡単になる

・・・これは神様以外の人が努力した方が早いかも。
機長もその能力があれば頑張りたいが、残念ながら肝心能力が・・・。

5

神様以外の人間でも
簡単にオリジナルの
ローカライザーを作れる環境の実現

・・・どんどんいろんな人気ソフトの
ローカライザーが生まれたら素敵だなって思って

6

フォント選択の自由
・・・でも、elisa以外のフォントを機長は知らない。
存在しなけりゃ意味がないとも言える

7

せめてL辞書には
「達司」が載っている

・・・それくらいのわがままは許されると思うのだが。

8

Graffitiで「pilotdesktop」と打ち込むと
「Mac版もバージョンアップしてね」と出る

・・・説明不要

9

Graffitiで「palmpc」と打ち込むと
「マネすんなって!」と出る

・・・説明不要


・・・など、今後のバージョンアップを期待しています。


ハルマゲドン?

そうこうしているうちに、
3COM社がこの春には実現すると約束してきた
同社オリジナルの日本語システムが登場するはず。
神様の手は借りない、という以外には詳細は謎のままだが、
機長は「Graffitiのカタカナ入力」の可能性を睨んでいる。
しかも、そのためのメモリ消費分を
「SuperPilot II」のフラッシュメモリみたいなのに書き込めるようにして、
「SuperPilot II」的なハードを日本向けの標準機種にするとか?
それなら神様とも全面戦争できるだろう。
もちろん、「Graffitiのカタカナ入力」が
「ほとんどオリジナルのカタカナと同じ書き順」で
しかもその認識水準が「英語のGraffiti」と同じ程度まで進んでいて、
おまけにサードパーティ製のソフトでも
ストレスなく利用できるという条件付きだから、
かなり難しいことだとは思うが・・・。
こう考えてくると「SuperPilot II」のフラッシュメモリには、
なぜか「J-OS Pro」を焼き込めないというのも
誰かの陰謀なのでは?と思ってしまうが、
たぶんこれは気のせいだろう。



個人的には神様に頑張って欲しいな。
だって神様だから。
初期Macintoshのように神様を追いだした会社は罰が当たるもんだ。
そういうもんだと思う。
理屈じゃなく。

じゃ。


1998年1月25日




最近、このページへの感想とか、
新情報とか質問とかをいろんな方から貰ってるので
そのうちご紹介します。

ただし、これだけは忘れないでね。

「機長」と聞くと、国際線のカッコいい機長を想像して、
英語も出来る!科学的知識も豊富!
てな想像をさせてしまうようだけど、
このページの機長の場合、
英語も怪しい!科学的知識も怪しい!
怪しいことだらけの人間なので、
専門的な質問とか貰っても
「ウウウ・・」と唸ったっきり
思考停止してしまうので、気をつけてね。

でも、難しくない感想とか意見なら大歓迎です。




筋曜日に神様が動いた!

前編その1

前編その2

後編

関連ページ

b2について

b3について

 



Click the following icon to back to
Pilot Air Line Top Page!